TakeMe Inbound Client’s voice- Vol③ 400年の歴史と今を継ぎ、日本文化を未来へと繋いでいく
(2023年3月より「TakeMeインバウンド」をご導入)
山ばな平八茶屋様ー21代続く、600坪の庭園を有する京都・洛北の老舗料亭
天正年間創業、江戸中期に萬屋を兼ねた麦飯茶屋、その後料理屋を営み、現在では料理旅館として宿泊サービスも提供されております。東に比叡山、西に高野川を望む洛北の景勝地にあり、夏目漱石の小説にも登場した京の風情ゆかしい料理屋として広く知られています。
(平八茶屋にて撮影-左からTakeMe株式会社取締役副社長 池本知矢、山ばな 平八茶屋 21代目園部晋吾)
池本:400年続く家業を継ぎ、トップとして商いを営み続ける事は我々の想像を超えた様々な事があったと思います。まずは平八茶屋の歴史と園部さんについてお聞かせください。
園部氏: 弊店は天正年間(安土桃山時代)、若狭街道(通称:鯖街道)の街道茶屋として、京都御所より一里のここ洛北・山端(やまばな)の地にて、初代平八が茶店を営み始め、19代目に代わった昭和45年の万博の年より宿泊の方も正式に営業が始まりました。そんな家に生まれ、家業を継ぐ自覚は割と早いタイミングで自然と芽生えていた事もあり、大学卒業後料理人としての下積み修行を経て、家に戻りました。私が正式に代交代をするまでは長い期間となりましたが、これまでの形式や慣習に強い誇りを持つ先代とは本当によくぶつかりました。ただ自分の代となる時期には現代に合った新たなビジネスを生み出す必要がある事は疑う余地がなかったものですから、来るべき時の為に経営者としてお節や瓶詰などの贈答品の販売、百貨店や婚礼会社への営業など新たな試みを率先して始めました。これらの取り組みが現在のギフト販売や婚礼ビジネスなど新たな売上の柱となってくれています。
池本:現在の平八茶屋の姿はそのような背景から創り出されてきたのですね。21代目として様々な新しい取り組みを推進していく中で、400年続く伝統 と折り合いが合わなくなる場面はなかったのですか?
園部氏:もともと私自身が長年現場に入っていたので、現場スタッフの目線に合わせながら少しずつ新しい取り組みを進める事ができた為、スタッフにも恵まれ、比較的スムーズに内部は推進していく事ができた様に感じます。しかしながら前例のない事ばかりでしたので、長年お付き合いをしている外部の方や先代の目から見ると違和感満載で否定的に取られても仕方のない、試みが沢山あったように思います。
池本:やはりそうですよね。そんな中でも園部さんがブレずに多くの新しい試みに取り組み続けられた理由は何ですか?
–この食事をいかに心地よく、楽しくお召し上がり頂くか
園部氏:私は「長年変わらず存在する形式や慣習」よりも「お客様に心地よい体験」を届けていく事を大切にしています。たとえば私の父親の世代までは、平八茶屋は「とろろ」が名物であり、「とろろ」を出して食べられなかったら、残しておいてもらったらいいと考えていました。しかしインバウンドゲストと「とろろ」は明らかに相性が良くありません。私は21代目として、お客様が好まないと分かっている食材を何故敢えてお出しするのかと考え、海外のお客様用の特別メニューを考案しコース化しました。この試みが現在となっては我々と海外のお客様とを結びつける大きな要因に繋がっています。
池本:そのような考え方で現在インバウンドゲストへ提供されているコースを用意されたのですね。インバウンドが増えてきた事による、大変さはありましたか?
園部氏:たしかに外国人のお客様のマナーや食の好みなど日本のお客様と違う部分は沢山あるのですが、文化的な違いもあると理解していたので大変さは特に感じていません。それよりもお客様が楽しくお食事を和気あいあいと楽しんで頂ければ良いと考えます。
私は常に人種や性別、年齢よりもそのお客様お一人お一人が日本食や空間のあしらいを通じて何を感じ、どのような体験をお届けできたか、この1点をこれまでもこれからも追及していきたいと思います。
池本:弊社とのパートナーシップに今後、より期待されている事は何ですか?
–日本文化の発展は日本人相手だけでは実現できない
園部氏:ずっと私自身が想い続けているのは、日本料理の良さ、ひいては日本文化の良さを「食」を通じて伝えていきたいという事です。ただお腹を満たすだけでなく、心を満たし、人と人を繋げるのが食文化。日本食文化を未来で更に発展させていく為には、裾野の広さが最も重要だと考えています。TakeMeさんには、日本に興味を持ちわざわざお越しになられたインバウンドの方々に、食を通じた日本文化に触れるきっかけを広く届けていってほしい、それが日本文化の未来に繋がる事を心から期待しています。
池本:ありがとうございます。平八茶屋様と今後もスクラムを組みながら、日本文化の素晴らしさを1人でも多くの方々に感じてもらえる様、微力ながら引き続きサポートさせて頂きます。この度は、貴重なお時間を頂きまして、どうもありがとうございました。
chihiro.ueda
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