「JIFA10周年記念セミナー」弊社副社長登壇イベント事後レポート

去る本年7/20に日本フードビジネス国際化協会(JIFA)が主催する「JIFA10周年記念セミナー」に弊社副社長の池本知矢がメインスピーカーとして登壇し、弊社クライアントでもあるKUURAKU GROUP山本氏をゲストスピーカーとし、インバウンド集客に成功している飲食店の事例を交えた最新インバウンド景況感を紐解く内容のセミナーを行いました。当日セミナー会場やオンラインで参加した受講者は想定以上に多く、皆さまから好評のお声を多数頂きましたのでこの度、当日の様子を記事としてお届け致します。

<セミナー概要>
日時:2023年7月20日(木)17:00-18:45
開催:会場参加+オンライン(ZOOM)
テーマ:『最新インバウンド景況感と求められる対応とは?~5月インバウンド集客6000名超えのKUURAKUグループ&TakeMe導入成功店を徹底解剖!~』
登壇者:TakeMe株式会社 取締役副社長 池本 知矢、株式会社 KUURAKU GROUP 外食事業本部マネージャー兼インバウンド戦略チーム 山本 勇一 氏

<TakeMeインバウンドについての概要>
セミナー前半は当社池本によるインバウンド送客サービス「TakeMeインバウンド」についての解説がありました。

(イベント当日の様子)

【池本の講演内容を一部抜粋】

弊社が提供するインバウンド送客サービス「TakeMe インバウンド」は、香港から東南アジア全域をカバーする[KLOOK]、中国の[大衆点評]、アリババグループの[Fliggy]、台湾の[KKday]、そして韓国の[Triple]など、各国の主要OTAとの連携によって構築された弊社独自のマーケティングネットワークを通じて、訪日観光客に言語や決済手段の壁を越えるストレスのない食体験をお届けします。また、契約飲食店には事前決済によるノーショー対策や特別コースの設計サポートに加え、予約台帳システム[TableCheck]との連携も可能なインバウンド予約管理システム「TakeMe Inbound Reserve」の提供を通じ、日本の各飲食店が戦略的にインバウンド観光客にアプローチできる全体オペレーションの構築をサポートしています。

コロナ禍中、完全にサービス提供を休止していたわけですが、昨年下半期にサービス再開して以降、現在「TakeMeインバウンド」の契約店舗には全国のミシュラン店や有名人気店など300店舗を越える飲食店様が名を連ねて頂いています。

サービス再開以降の弊社契約飲食店へのインバウンドゲスト送客数は順調に伸び続けており、3月の桜のシーズンには5,000人を超え、その後6月末には10,000人を突破しました。
送客したインバウンドゲストを国別で見てみると、台湾と香港がそれぞれ4割程度、次に韓国、中国、アメリカ、タイなどが続く結果となり、中国からの訪日観光客の回復はこれからが本格化してくると予測されます。

<インバウンド集客の成功事例をご紹介>
後半は、KUURAKU GROUPの山本氏がゲストスピーカーとして登壇し、これまでのインバウンド集客の取り組みなどの生の声を池本と対談形式でお聞かせ頂きました。

(左からTakeMe池本、 KUURAKU山本氏)

【対談内容を一部抜粋】

池本:焼鳥チェーン居酒屋「くふ楽」、「福みみ」を中心としたレストランを世界6カ国に33店舗展開されるKUURAKU GROUPさんですが、日本都内店舗では昨年の下半期からの訪日観光客の回復に合わせてインバウンド観光客取り込みに成功され、6月は速報値で都内6店舗合計7000名にも迫る勢いだったとお伺いしています。コロナ前と後での違いも含めて、これまでKUURAKUさんとして取り組まれてきた具体的なインバウンド集客の施策について教えてください。

山本氏:どうもありがとうございます。まず我々がインバウンド集客を意識し始めたのが2015年頃でした。ただ、2017年まではほぼ日本のお客様がメインであった事もあり、そのような背景から2018年にTakeMe社の旧日本美食サービス、現在の「TakeMeインバウンド」と「TakeMe Pay」を導入し、また弊社独自施策として各店による口コミ増加アクションに力を入れる様になりました。コロナ前のインバウンド集客は圧倒的に中国本土からの訪日観光客が中心でしたが、コロナ後の現在は以前より幅広く様々な国からのお客様にお越し頂いています。

池本:今お話頂いたKUURAKUさんが独自で推進されてきた口コミ増加アクションについて、具体的には中国のレストラン口コミサイトの「大衆点評」と欧米で存在感のある旅行口コミサイト「Tripadvisor」で積極的に取り組む事からスタートしたとお伺いしました。当時、どのような背景からこの2媒体を選定されたか、また具体的にどの様なアクションを実行されていったのかを教えてください。

山本:口コミアクションを開始した当時、影響力のある海外サイトを僕達自身が把握できていなかった事から、銀座店、渋谷店に実際に来店された訪日観光客の方々に徹底的にヒアリングを行いました。その結果、中国の方は「大衆点評」、欧米の方は「TripAdvisor」の影響力が強い事を知り、「大衆点評」と「TripAdvisor」上での口コミ促進に積極的に取り組んでいきました。具体的には、訪日観光客が来店されたと同時にそのお客様と母国語の相性が良さそうな外国人店舗スタッフを個別に指名し、そのスタッフが積極的に担当するお客様へコミュニケーションを図っていく事で地道にレビュー投稿に繋げていきました。2019年頃からは「TripAdvisor」よりも「Google Maps」の口コミが圧倒的に欧米エリアで影響力が出てきている事を実際の現場で体感する事が多く、そのような背景から当時「Google Maps」へレビュー投稿施策を切り替えた後、暫くしてコロナ禍に突入する事になりました。コロナ禍後、インバウント集客のいち早い回復を実現できた事は、この時の「Google Maps」への切り替えが功を奏したのかと思います。

池本:やはり「Google Maps」の影響力はすごいですね。ただ「Google Maps」上での良いレビューが蓄積されてくると、インバウンド客の増加に繋がる反面、ノーショー問題も比例して発生するというお話をよく伺う事があります。複数のインバウンド繁盛店では「Google Maps」との席予約リンクを外したと聞く場面も出てきました。KUURAKUさんも同じ様な問題は発生していますか?また、ノーショーの対策は何か特別にされていますか?

山本氏:いまだ完全に解決できるソリューションはまだ見出せていないのが実態ではありますが、現在実験的に「TakeMeインバウンド」で連携している海外OTAのリンクを、自分達の権限で設定できるGBP上(Google Business Profile)のテーブル予約欄に設置をしてみました。店舗側の立場としては、「TakeMeインバウンド」経由のご予約であれば事前決済が完了しているのでノーショー対策は万全ですし、特別コースのみを各国の海外OTAで販売し単価アップに繋げているので、お世辞抜きで(笑)1粒で2度美味しいメリットがあります。

池本:ありがとうございます。明らかにGBP上でこの設定をいただいて以降、弊社経由の送客数も更に増加傾向にあるので、引き続き一緒に様子を見ていけたらと思います。最後にこれから現状のインバウンドへの取り組みに加えて、新たに取り組もうとしている事や、社内で議論されている方向性などがあれば教えてください。

山本氏:KUURAKUはすでに月間約7000人規模のインバウンドのお客様にお越し頂いており、さらに多くのお客様に足を運んで頂ける様、日本ならではの分かりにくい慣習である「お通し」の代わりに、欧米で馴染み深い「cover charge」(席料)として表現するなどしてさまざまな工夫を引き続き進めていきます。今後は、じわじわと中国本土からのお客様が増加してきていることは弊社データ上でも確認が取れているので、TakeMeさんのお力もお借りしながら万全な状態で中国インバウンドに取り組んでいこうという話をしています。また改めて、KUURAKUを訪れてもらった海外の方々の「店内体験」、ここに着眼点をもってそこを磨いていこうという議論を社内で行っています。

<セミナー総括>
池本より講演のまとめとして飲食店経営者の皆様へ以下のメッセージがありました。

【池本の講演内容を一部抜粋】
最後に、立地や業態によって飲食店がインバウンド集客へ取り組むべきエネルギー量は異なりますが、そもそも企業経営における『インバウンド集客』の位置付けとして今後将来にわたってどのような捉え方をすべきか、この問いを考えていく上で何かしらの参考になれればと思い、私の考えをお伝えさせて頂きます。

まずこちらのスライドは、航空会社ブリティッシュ・エアウェイズの実際のあるフライトにおける売上構成が示されています。2017年3月のロンドン・ヒースロー~ニューヨーク線で運航していたボーイング777-200ERは、エコノミークラス、プレミアムエコノミークラス、ビジネスクラスそしてファーストクラスと、いくつかのランクに分けられており、エコノミーが122席、それ以外のプレミアムシートが102席存在します。

そして本事例の興味深い点は、なんと全体の8割以上の売上がエコノミークラス以外のプレミアムシートで創出されているという点です。本フライトは常に大人気路線である事から、エコノミークラス以外の売上割合がより高く出ているらしいですが、ただこの傾向は多くのフライトで見受けられる売上構成の様です。

このビジネスの考え方、売上の作り方は、飲食店にとっても今後インバウンド戦略を考えていく上で重要な示唆を含んでいると思います。デフレマインドが払拭できない、それでもこれまで支えてくれた日本の常連客をベースとしつつ、いかに飲食業という究極のソフトビジネスの利点を最大限発揮するか。訪日観光客にとってかけがえのない価値ある店内体験を特別にお届けする事で、運営店舗毎に単価の高いインバウンド売上げをどの程度の割合で構成していくべきか。まさにインバウンド戦略を考えるという事は、将来にわたるこれからの売上の全体ポートフォリオを構想する事だと私は捉えています。我々は少しでも、皆様が将来構想する売上構成の実現に向けた伴走パートナーの様な存在になれれば嬉しく思います。

<今回のセミナー主催者一般社団法人 日本フードビジネス国際化協会(JIFA)について

食で世界をつなぐため、世界を相手に海外で勝つために、もっと日本人は連携するべきだと考え「日本はチームだ」を合言葉に、「いざかや炎丸」などの店舗を国内外で運営する株式会社PrunZの代表取締役 深見 浩一氏を理事長とした、外食業界初となる一般社団法人JIFA(日本フードビジネス国際化協会 Japan International Food business Association(通称:JIFA))を2016年に11月に設立しました。外食企業の国際化をスローガンとし、海外進出のための情報交換や業務提携のサポート、各国に進出している外食企業によるセミナーを実施しています。

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